【初心者向け】おうち陶芸で最初のマイカップを作る！基本のステップ
自宅で新しい趣味を始めたい、手軽にものづくりに挑戦したい、そうお考えの方に「おうち陶芸」はおすすめです。特に、初めての作品としてご自身の「マイカップ」を作るのは、達成感も大きく、日常で使える喜びも感じられます。
この記事では、おうち陶芸でオリジナルのマグカップを作るための基本的なステップを、初心者の方にも分かりやすく解説いたします。
なぜ最初の作品にマグカップがおすすめなのでしょうか？
おうち陶芸で初めて何かを作る際に、マグカップをおすすめする理由がいくつかございます。
まず、マグカップは日常で頻繁に使うことができる実用的なアイテムです。自分で作ったカップでお茶やコーヒーを飲む時間は、格別のものになるでしょう。
次に、マグカップの形状は、比較的シンプルな構造から始めることができます。円筒形の本体に取っ手を付けるという基本的な形であれば、手びねりの技法でも十分に制作可能です。
そして、完成した時の達成感です。一つカタチあるものを作り上げる経験は、次への創作意欲に繋がります。
マグカップ作りに必要なもの（最低限）
ご自宅でマグカップ作りに挑戦するために、まずは最低限必要なものをご準備ください。
- 陶芸用粘土: 初心者の方は、扱いやすい半磁土や、収縮率の少ない土を選ぶと良いでしょう。少量から購入できるセットもございます。
- 基本的な道具:
- 木ベラ、またはプラスチックベラ: 形を整えたり、粘土を削ったりするのに使います。
- カッターナイフまたはヘラ状のもの: 粘土を切ったり、つなぎ目を処理したりします。
- スポンジ: 表面を滑らかにしたり、水分を調整したりするのに使用します。
- 霧吹き: 粘土が乾燥しすぎないように、適度に水分を与えます。
- たたら板（無くても可）: 厚さを均一にするために使いますが、手で慣らせば無くても大丈夫です。
- プラスチックシートや新聞紙: 作業スペースを汚さないために敷きます。
- 手拭きタオル: 作業中に手を拭きます。
- 水を入れる容器: 少量の水を用意します。
これらの道具は、陶芸材料店はもちろん、最近ではオンラインショップや一部の大型雑貨店でも手軽に入手できるようになっています。
マグカップの基本ステップ：手びねり（玉づくり）で本体を作る
今回は、特別な道具を使わず、手で粘土の塊から形を作る「玉づくり」を応用した方法で、マグカップ本体を作る基本ステップをご紹介します。
- 粘土を準備する:
- 用意した粘土を適量（マグカップ一つ分であれば、握りこぶし大～二つ大くらい）取ります。
- 粘土の中に空気が入っていると焼成時に割れる原因になりますので、よく練って空気を抜きます。初心者の方は、粘土の塊をテーブルに叩きつけたり、二つに切って合わせたりを繰り返すだけでも効果があります。
- 粘土を丸める:
- 空気抜きができたら、粘土をきれいに丸い球状にします。
- 中心に穴を開ける:
- 丸めた粘土をテーブルに軽く置き、親指を粘土の中心に押し込み、底になる部分を作ります。深さは底の厚み分（1cm程度）を残します。
- 壁を立ち上げる:
- 穴を開けた粘土を片方の手に持ち、もう片方の手の親指を内側に、他の指を外側に当て、粘土を回しながら壁を薄く、そして上に伸ばすように立ち上げていきます。このとき、壁の厚みが均一になるように意識します。焦らず、ゆっくりと粘土を少しずつ持ち上げるイメージです。
- 形を整える:
- 全体の高さや口の広さを調整しながら、目的のマグカップの形に近づけていきます。木ベラを使って内側や外側の形を整えたり、口の部分を滑らかにしたりします。底が安定するように、軽くテーブルに打ち付けたりもします。
マグカップの基本ステップ：取っ手をつける
本体ができたら、次に取っ手をつけていきます。
- 取っ手を作る:
- 別の粘土を用意し、手のひらで転がすようにして、取っ手にしたい太さと長さのひも状にします。または、少し平たい板状にしても良いでしょう。
- カップ本体のサイズやデザインに合うように、取っ手の形を調整します。
- 取り付ける場所を準備する:
- カップ本体と取っ手を取り付けたい部分に、カッターナイフやヘラで細かい傷（キズメ）をつけます。これは、粘土同士をしっかりと接着させるために非常に重要です。
- キズメをつけた部分に、少量の水または「どべ」（水で溶いた泥状の粘土）を塗ります。
- 取っ手をつける:
- 取っ手の両端にもキズメをつけ、どべを塗ります。
- 取っ手をカップ本体のキズメとどべを塗った部分にしっかりと押し当てて接着します。このとき、隙間ができないように丁寧になじませます。
- 接続部分の粘土を指やヘラでなめらかに整え、一体感を出します。
作業中のコツと注意点
- 粘土の乾燥に注意: 作業中に粘土が乾燥しすぎるとひび割れの原因になります。霧吹きで適度に水分を与えながら作業を進めてください。特に取っ手をつける際は、本体も取っ手も同じくらいの湿り気であることが望ましいです。
- 壁の厚さを均一に: 壁の厚みがバラバラだと、乾燥や焼成の際にひび割れや歪みの原因になります。指先の感覚で、厚さが均一になるように調整してみてください。
- 接続部はしっかりと: 取っ手など、別の粘土を接着させる部分は、キズメとどべをしっかり使い、隙間なく丁寧になじませることが、焼成時の破損を防ぐために非常に大切です。
- 焦らずゆっくりと: 陶芸は時間のかかる作業です。完璧を目指しすぎず、楽しみながら、ゆっくりと自分のペースで進めていきましょう。
完成後の流れ
形ができたら、作品をゆっくりと乾燥させます。直射日光の当たらない、風通しの良い場所で数日から一週間程度かけて完全に乾燥させます。これが「素焼き」前の乾燥です。
完全に乾燥したら、次は焼成（窯で焼く工程）が必要になります。ご自宅に陶芸窯がない場合は、地域の陶芸教室や自治体の施設、あるいは陶芸作品の焼成を請け負っているサービスを利用することになります。焼成によって粘土が固まり、陶器として使えるようになります。
さらに、色をつけたい場合は、焼成後に釉薬をかけて再度焼成する「本焼き」という工程に進みます。釉薬の種類やかけ方についても、別の記事で詳しくご紹介する予定です。
まとめ
おうち陶芸で最初のマイカップを作るステップをご紹介しました。最初は少し難しく感じるかもしれませんが、粘土に触れ、自分の手で形を作り出す時間は、きっと心地よいものになるでしょう。
形が少し歪んでしまっても、厚みが均一でなくても、それは「世界に一つだけの、あなたのマグカップ」です。失敗を恐れずに、まずは粘土に触れることから始めてみませんか。この小さな一歩が、自宅での豊かな陶芸ライフに繋がることを願っております。
完成までの道のりには乾燥や焼成といった工程がありますが、それらもまた陶芸の楽しみの一つです。ぜひ、ご自身のペースで、最初のマイカップ作りを楽しんでください。