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おうち陶芸でもっと作品に個性を!初心者向け「釉薬」の選び方と使い方

Tags: 釉薬, 陶芸初心者, おうち陶芸, 色付け, 手軽

おうち陶芸を楽しんでいる方の中には、手びねりや成形、素焼きまでは経験したけれど、「もっと作品に色や個性を出したい」「あのつるっとした質感はどうやって出すのだろう?」と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。その秘密の一つが、「釉薬(ゆうやく)」です。

「釉薬」と聞くと、何だか専門的で難しそう…と感じる方もいるかもしれません。確かに奥深い世界ですが、初心者の方でも扱いやすい釉薬を選び、ポイントを押さえれば、自宅でも作品の表現を大きく広げることができます。

この記事では、おうち陶芸で作品に色や質感を加えるための「釉薬」について、その基本的な知識から、初心者の方におすすめの選び方や使い方までを分かりやすくご紹介します。

そもそも「釉薬(ゆうやく)」とは?

釉薬とは、陶磁器の表面に塗るガラス質の粉末を水に溶かしたものです。これを素焼きした器などに塗り、本焼成(一般的に1200度以上の高い温度で焼くこと)を行うことで、ガラス状に溶けて器の表面を覆います。

なぜ作品に釉薬を使うのでしょうか?

釉薬を使うことには、主に以下の3つの目的があります。

  1. 強度を高める: 素焼きの器は水を吸いやすく、衝撃にも弱い状態です。釉薬をかけて焼成することで、器の強度が増し、日常使いにも耐えられるようになります。
  2. 防水性・防汚性を与える: 釉薬がガラス状に溶けて表面を覆うことで、水や汚れが染み込みにくくなります。これにより、食器などとして衛生的に使うことができるようになります。
  3. 美しさを表現する: 釉薬の種類や厚み、焼き方によって、作品に様々な色や光沢、質感を加えることができます。マットな質感、つるっとした質感、貫入(ひび割れ模様)、幻想的な色合いなど、表現の可能性が無限に広がります。

初心者さんにおすすめの釉薬の選び方

釉薬には非常にたくさんの種類があり、それぞれ特性が異なります。初心者の方がまず挑戦するなら、以下の点に注目して選ぶのがおすすめです。

特定の種類の釉薬としては、以下のようなものが比較的扱いやすいとされています。

まずは、少量でこれらの基本的な釉薬を試してみてはいかがでしょうか。

釉薬の基本的な使い方

釉薬を塗る(施釉:せゆう と言います)方法はいくつかありますが、ここでは初心者の方にも取り組みやすい代表的な方法をご紹介します。施釉は、素焼きが終わった、完全に乾燥した状態の作品に行います。

  1. 施釉前の準備:

    • 素焼き作品の表面の埃やゴミを、乾いた布や刷毛で丁寧に払います。
    • 釉薬は使用前にしっかりと混ぜます。沈殿していることが多いので、容器の底からしっかり撹拌しましょう。
    • 釉薬の濃度を確認します。濃度が高すぎると厚塗りになりすぎ、低すぎると薄塗りになりすぎてしまいます。釉薬メーカーの推奨する濃度を参考に、水で調整します。刷毛で持ち上げたときに、釉薬がとろりと流れ落ちるくらいの濃度が目安です。
  2. 施釉方法(浸し掛け・掛け掛け・刷毛塗り):

    • 浸し掛け(どぶ漬け): 作品全体や一部を釉薬に浸す方法です。均一に施釉しやすいですが、ある程度の量の釉薬が必要です。器の内側と外側で分けて浸すなど、工夫して行うことができます。
    • 掛け掛け(流し掛け): 作品の上から釉薬を流し掛ける方法です。釉薬の濃淡や流れ落ちる模様を楽しむことができます。
    • 刷毛塗り: 釉薬を刷毛に含ませて、作品の表面に塗っていく方法です。比較的少量から始められ、細かい部分にも塗ることができます。ただし、刷毛跡が残りやすいので、できるだけ均一になるように、同じ方向に丁寧に塗っていくのがポイントです。重ね塗りをする場合は、一層目が乾いてから行います。
  3. 高台(器の底)の処理:

    • 釉薬は焼成時にガラス状に溶けるため、器の底(高台)に釉薬が付いたまま焼くと、棚板にくっついてしまいます。必ず、高台部分や棚板に直接触れる部分の釉薬を丁寧に拭き取ります。釉拭き用のスポンジや布を使うと便利です。
  4. 施釉後の乾燥:

    • 釉薬を塗った作品は、本焼成の前にしっかりと乾燥させる必要があります。風通しの良い場所で、数日から1週間程度かけてゆっくりと乾燥させましょう。

釉薬なしでも楽しめる!作品に個性を出す方法

「釉薬はまだハードルが高いな…」と感じる方や、「粘土本来の風合いが好き」という方のために、釉薬を使わずに作品に個性を出す方法もいくつかあります。

釉薬に挑戦する上での不安Q&A

まとめ

おうち陶芸で作品作りに慣れてきたら、ぜひ「釉薬」の世界に足を踏み入れてみてください。釉薬を使うことで、作品の表情が驚くほど豊かになり、陶芸の楽しみ方がさらに広がります。

最初は難しく感じるかもしれませんが、市販の初心者向け釉薬から試したり、少量ずつ色々な種類を試したりしながら、焦らず自分のペースで挑戦していくことが大切です。失敗を恐れずに、どんな色になるかな?どんな質感になるかな?とワクワクしながら取り組んでみましょう。

作品に釉薬をかけて、あなただけの特別な器を完成させる喜びを、ぜひ自宅で味わってみてください。