【これで安心】おうち陶芸作品、自宅での乾燥場所はどうする?アイデアと工夫
おうち陶芸作品の「乾燥場所」どうしていますか?
自宅で陶芸を始める際、「どこで作業しよう?」というスペースの悩みはよく耳にするかと思います。しかし、もう一つ、意外と見落としがちなのが、作り終えた作品を乾かす「乾燥場所」の問題です。
せっかく心を込めて作った作品も、乾燥がうまくいかないと、ひび割れてしまったり、カビが生えてしまったりすることがあります。だからこそ、乾燥は作品を焼成に進めるための大切なステップなのです。
「自宅に作品を置ける十分なスペースがない」「ホコリがつきそう」「どうやって乾かせばいいの?」
そんな不安をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。この記事では、自宅の限られたスペースでも陶芸作品を上手に乾燥させるための具体的なアイデアと工夫をご紹介します。初心者の方でも安心して取り組める方法ばかりですので、ぜひ参考にしてみてください。
なぜ作品の乾燥はそんなに大切なのでしょうか?
陶芸の粘土には水分がたくさん含まれています。この水分が完全に抜けることで、作品は強度を増し、焼成(窯で焼くこと)に耐えられるようになります。
乾燥が不十分なまま焼成してしまうと、作品の中の水分が急激に蒸発し、作品が割れたり、ひびが入ったりする原因になります。また、乾燥が遅すぎたり湿度が高すぎたりすると、カビが生えてしまうこともあります。
適切な方法で丁寧に乾燥させることで、作品を良い状態で焼成に送り出すことができるのです。
自宅で作品を乾燥させる際の主な悩み
自宅で陶芸作品を乾燥させるには、いくつか注意したい点があります。
- スペースの問題: 完成した作品を複数個乾かす場合、意外と場所を取ります。特に大きな作品を作る場合は、それなりのスペースが必要になります。
- ホコリ対策: 乾燥中の作品は表面が繊細です。ホコリが付着すると、作品の仕上がりに影響することがあります。
- 乾燥ムラ: 直射日光や強い風が当たる場所、あるいは全く風通しのない場所など、環境によっては乾燥にムラが生じ、ひび割れの原因になることがあります。
- ペットや小さなお子様: 乾燥中の作品に触れてしまったり、倒してしまったりする可能性も考慮する必要があります。
これらの課題を踏まえて、ご自宅に合った乾燥場所と方法を工夫していきましょう。
自宅での乾燥場所アイデア:限られたスペースを賢く使う
「特別な乾燥室なんてないし…」と心配する必要はありません。ご自宅の中にも、乾燥場所として活用できる場所は意外とたくさんあります。
1. 普段使わない棚の上やデッドスペース
本棚や収納棚の上部、あまり物を置かない出窓など、日常的に頻繁に触らない場所を乾燥スペースとして利用できます。 * ポイント: * 高い場所なら、小さなお子様やペットのいたずらを防ぎやすいです。 * 直射日光が直接当たらないか確認しましょう。急激な乾燥はひび割れの原因になります。
2. ダンボール箱やプラスチックケースの中
大きなダンボール箱や衣装ケースなどを活用する方法です。 * ポイント: * 箱の中に作品を置けば、ホコリから守ることができます。 * 蓋は完全に閉めず、少し隙間を開けておくか、側面にいくつか空気穴を開けると、適度に換気ができて乾燥ムラを防ぎやすくなります。(密閉しすぎると乾燥が進まなかったり、湿度が高くなりすぎたりします)
3. メッシュラックやワイヤーネットを活用
100円ショップなどで手軽に入手できるメッシュラックやワイヤーネットは、小さな作品の乾燥に便利です。 * ポイント: * 複数の段があるラックを使えば、限られたスペースでたくさんの作品を乾かせます。 * 作品の底面にも空気が触れるため、乾燥ムラを防ぎやすくなります。 * 場所を移動させやすいのも利点です。
4. 作品保護のための「覆い」を考える
作品を乾燥させる場所に直接置くのが難しい場合や、ホコリ対策をしっかりしたい場合は、作品自体を覆うことも有効です。 * ポイント: * 新聞紙やラップ、大きなビニール袋などを使います。 * 完全に密閉せず、必ず一部分を開けて空気の通り道を作ってください。急激な乾燥や乾燥ムラを防ぎながら、ホコリや急な環境変化から作品を守ることができます。 * 特に厚みのある作品や、高台(作品の底面の縁)のある作品は、本体との乾燥スピードの違いからひび割れやすい傾向があります。全体をゆっくり均一に乾かすために、大きめのビニール袋などでふんわりと覆い、乾燥スピードを緩やかにするのも良い方法です。
乾燥を成功させるための追加の工夫
場所を確保するだけでなく、少しの工夫で乾燥の成功率を高めることができます。
- 直射日光やエアコンの風を避ける: これらは乾燥を急激に進め、ひび割れの原因となります。窓際でもレースのカーテン越しにする、エアコンの風向きを変えるなどの対策をしましょう。
- 定期的に作品の向きを変える: 作品全体が均一に乾くように、時々作品の向きを変えたり、底面にも空気が触れるように少し持ち上げてみたりします。
- 湿度管理: 梅雨時期など湿度が高い時期は乾燥が遅れ、カビの原因になることがあります。可能であれば、部屋を除湿したり、乾燥剤を置いたりするのも効果的です。逆に冬場など空気が乾燥している時期は、乾燥が早すぎてひび割れやすいので、ビニールで覆うなどの対策が必要です。
- 安定した場所に置く: 乾燥中の作品は壊れやすいため、揺れたり倒れたりしない、安定した場所に置きましょう。
作品のサイズと乾燥期間の目安
作品の大きさや厚み、使っている粘土の種類、そして季節や湿度によって乾燥にかかる時間は大きく異なります。
- 小さな箸置きやブローチなど:数日〜1週間程度
- お茶碗や湯呑みなどの一般的なサイズの器:1週間〜2週間程度
- 厚みのある作品や大きな花瓶など:2週間〜1ヶ月以上かかることもあります。
作品の色が全体的に均一な明るい色になり、触ってみてひんやりせず、軽くたたくとコンコンと乾いた音がするようになれば、乾燥が完了しているサインです(素焼き前は非常に割れやすいので、優しく扱ってください)。焦らず、作品の状態をよく観察しながら、じっくり乾燥させるのが成功の鍵です。
まとめ:乾燥場所の悩みは、工夫次第で解決できます
おうち陶芸における作品の乾燥場所は、少しのアイデアと工夫で十分に確保できます。特別な設備がなくても、ご自宅にある棚やケース、100円ショップのグッズなどを活用することで、大切な作品をホコリや急激な乾燥から守り、じっくりと乾燥させることが可能です。
乾燥中の作品が並んでいるのを見るのも、おうち陶芸の楽しみの一つです。最初は場所の確保や乾燥方法に悩むかもしれませんが、何度か経験するうちに、ご自身の環境に合ったベストな方法が見つかるはずです。
ひび割れやカビを過度に恐れる必要はありません。失敗もまた、陶芸の経験として次に活かすことができます。まずは、この記事でご紹介したアイデアを参考に、お手持ちの道具やスペースで試してみてください。作品が無事に焼き上がる日を楽しみに、乾燥のステップもぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。