【おうち陶芸】作品を安定させる高台づくり!初心者向け基本ステップとコツ
自宅で手軽に陶芸を楽しんでいらっしゃる皆さん、こんにちは。
器の形ができて、乾燥が進んできた作品を見て、「この底、どうするんだろう?」と思われたことはありませんか。お皿やカップ、お茶碗など、多くの器の底には「高台(こうだい)」と呼ばれる部分があります。
この高台、実は作品の安定性を高めるだけでなく、使い勝手や見た目にも関わる、とても大切な仕上げの工程なのです。
「高台を作るのは難しそう…」「削るって何?」と不安に感じる初心者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ポイントを押さえれば、手びねりで作った作品にも、ご自宅にある道具で十分に高台をつけることができます。
この記事では、おうち陶芸で作品の完成度をぐっと上げるための、高台の基本的な役割と、初心者向けの分かりやすい作り方をご紹介いたします。ぜひ、あなたの作品づくりに挑戦してみてください。
高台って何?なぜ必要なの?
まず、高台とは何か、そしてなぜ器に高台がつけられているのかをご説明します。
高台とは、器の底面の中央部分を残して、縁取るように一段高く作られた部分のことです。茶碗や湯呑み、お皿など、さまざまな器に見られます。
高台には、いくつかの大切な役割があります。
- 安定性を高める: これが一番分かりやすい役割かもしれません。器がテーブルに置かれた際に、接地面が小さくなることで安定しやすくなります。特に重心の高い器や、口径に比べて底が小さい器には、高台があることで倒れにくくなる効果が期待できます。
- 熱を伝えにくくする: 温かい飲み物が入った湯呑みや、熱い料理を盛ったお皿など、器全体が熱くなった際に、テーブルや手に直接熱が伝わりにくくする効果があります。
- テーブルを傷つけない: 底面全体が釉薬のかかっていない土のまま(素焼きや本焼きで土肌が出ている状態)でテーブルに置かれると、ざらつきによってテーブルの表面を傷つけてしまう可能性があります。高台をつけることで、接地面を狭め、傷つきのリスクを減らします。また、高台の外側は丁寧に仕上げることで、さらに傷つきを防ぐことができます。
- 見た目を良くする: 器全体を見たときに、高台があることでリズムが生まれ、デザイン的なアクセントになります。高台の形や大きさ、高さによって、器の印象は大きく変わります。
- 重ねやすくなる: 同じサイズや形であれば、高台があることで重ねたときに器同士が安定しやすくなります。
このように、高台は単なる飾りではなく、器を使う上で非常に機能的な役割を果たしているのです。
高台はいつ作る?どんな道具が必要?
高台作りは、作品の形ができあがってから、乾燥の途中で行います。
粘土がまだ柔らかすぎると形が崩れてしまいますし、完全に乾いてしまうと硬すぎて削ることが難しくなります。作品の表面が白っぽくなり、触っても指紋がつかないけれど、まだわずかにしっとり感が残るくらいの、「革のような固さ」(革のように硬いが、まだ柔軟性がある状態)になったタイミングが最適です。
必要な道具は、ご自宅にあるもので代用できるものも多いです。
- 陶芸用カンナまたはカッターナイフ: 高台を削り出すための主な道具です。陶芸用のカンナがあれば理想的ですが、鋭利なカッターナイフでも慎重に行えば代用可能です。ただし、カッターナイフを使用する際は、刃の扱いに十分注意してください。
- ヘラ: 削りカスを取り除いたり、底面を整えたりするのに使います。竹串や割り箸を削って作ったもの、木製のヘラなど、小さなもので十分です。
- スポンジ: 削った面を軽く湿らせたり、なめらかにしたりするのに使います。水を含ませすぎないように注意します。
- 定規やコンパス(任意): 高台の中心や大きさを正確に決めたい場合に役立ちます。
手びねりで作った作品の場合、電動ろくろのように回しながら削る必要はありません。作品を裏返して台の上に置き、固定しながら手で削り進めることができます。
初心者向け!削り出し高台の基本ステップ
ここでは、手びねりで作ったお皿や小鉢などによく用いられる「削り出し高台」の基本的な作り方をご紹介します。作品の底を削って高台の形を作っていく方法です。
ステップ1:作品の準備と中心の見極め
作品が「革のような固さ」になっているか確認します。表面がザラザラせず、爪を立てても傷がつきすぎない程度が目安です。
次に、作品の底面の中心を見つけます。お皿や鉢の場合、内側の中心から推測するか、定規を使って対角線を引いて交点を求めると良いでしょう。カップや湯呑みのように円形の底の場合は、作品をゆっくり回してみて、最もブレない場所が中心に近いと考えられます。簡単な方法としては、作品の底面に鉛筆などで軽く印をつけるのも良いでしょう。
ステップ2:高台の輪郭線を引く
中心が決まったら、高台の外側の輪郭線と内側の輪郭線を決めます。
高台の大きさは、器のサイズやデザインによって異なりますが、一般的には器の底面の直径の半分〜2/3程度に収まるようにするとバランスが良いとされています。鉛筆や竹串の先などで、軽く印をつけるように輪郭線を引きます。中心から等しい距離に円を描くように意識しましょう。コンパスがあれば正確に円が描けます。
ステップ3:外側を削り出す
決めた高台の外側の輪郭線の外側を、カンナやカッターナイフを使って削り始めます。
カンナやカッターの刃を底面に当て、作品の縁に向かって薄く削り取るように動かします。一度に深く削ろうとせず、少しずつ、均一に削り進めるのがコツです。作品を回しながら、全体が同じ高さになるように削ります。削り終わる高さは、高台の高さになります。作品のサイズにもよりますが、数ミリから1センチ程度が一般的です。
ステップ4:内側を削り出す
次に、高台の内側の輪郭線の内側を削ります。
内側は、高台の輪郭線から中心に向かって削り進めます。この時、底面の中心部分は少し盛り上がったまま残しておくのが一般的です(これを「兜(かぶと)」と呼ぶこともあります)。中心部分まで完全に平らに削ってしまうと、焼成時に底が歪みやすくなることがあります。内側も外側と同様に、少しずつ、均一に削り取っていきます。削りカスはヘラなどで適宜取り除きます。
ステップ5:高台の側面と底面を整える
高台の高さと内側の削りが終わったら、高台の側面(輪になっている部分の縦の面)と、高台の内側の底面をヘラや指、湿らせたスポンジなどでなめらかに整えます。
特に高台の側面は、テーブルに直接触れる可能性があるため、指で軽く押さえて密度を高めたり、湿らせたスポンジで優しく拭いたりして、滑らかに仕上げることで、テーブルを傷つけにくくなります。
ステップ6:削りカスを取り除き、乾燥させる
最後に、作品全体についた削りカスをハケや筆、柔らかい布などで丁寧に払い落とします。高台の内側にもカスが残りやすいので、きれいに掃除します。
削りが終わったら、作品を再びゆっくりと乾燥させます。この後の乾燥は、作品全体が均一に乾くように、風通しの良い場所で直射日光を避けて行います。ひび割れを防ぐため、急激な乾燥は避けましょう。
高台作りのコツと注意点
- 粘土の固さが重要: 繰り返しになりますが、削り始める粘土の固さが成功の鍵です。硬すぎず、柔らかすぎないタイミングを見極めましょう。判断が難しい場合は、試しに作品の底の目立たない場所を少し削ってみるのが良いでしょう。
- 少しずつ削る: 一度に深く削ると失敗の原因になります。特に高台の高さは、削りすぎてしまうと元に戻すのが難しいので、少しずつ慎重に削り進めてください。
- 作品を回しながら削る(手びねりの場合): 作品を固定したまま一部だけを削るのではなく、作品を少しずつ回しながら、全体的に均一に削ることで、きれいな円形になりやすくなります。
- 道具を使い分ける: 大まかに削る際はカンナやカッター、細かい部分や整える際はヘラや指、スポンジなど、状況に応じて道具を使い分けると作業がしやすくなります。
- 失敗しても大丈夫: もし削りすぎてしまったり、形が歪んでしまったりしても、粘土が完全に乾く前であれば、少量の粘土を足して修正することも可能です。完璧を目指しすぎず、まずは挑戦してみることが大切です。
まとめ:高台作りで作品の魅力アップ!
今回は、おうち陶芸で器の安定性を高め、見た目も美しくする「高台」の役割と、初心者向けの削り出し高台の作り方をご紹介しました。
最初は少し難しく感じるかもしれませんが、高台をしっかりとつけることで、あなたの作った器はより使いやすく、完成度の高い作品になります。ご自身の作品に高台がつくと、きっと愛着も一層深まることでしょう。
今回ご紹介した削り出し高台以外にも、粘土を輪にして貼り付ける「付け高台」など、様々な方法があります。まずは削り出し高台から挑戦してみて、慣れてきたら他の方法も試してみるのも楽しいかもしれません。
焦らず、作品の固さを見ながら、ぜひ高台作りに挑戦してみてください。きっと、あなたの陶芸スキルが一つレベルアップするはずです。
次回も、おうち陶芸をさらに楽しむためのヒントをお届けします。どうぞお楽しみに。