【おうち陶芸】自分で作った器を使いこなす!日常でのお手入れと活用ガイド
作品が完成したら、次は「使う」楽しみです
おうち陶芸で時間をかけて作った作品が、乾燥や焼成を経てついに完成した時、何とも言えない喜びを感じることでしょう。世界に一つだけの、自分だけの器や小物が誕生したのです。
作品が完成したら、次に待っているのは「使う」という、また違った楽しみです。自分で作った器で食事をしたり、小物入れとして活用したり、部屋に飾ったり。これまでの苦労や没頭した時間が報われる瞬間です。
しかし、せっかく心を込めて作った作品を長く大切に使うためには、いくつか知っておきたいお手入れのポイントや、日常での活用における注意点があります。特に陶器は磁器に比べて吸水性があるなど、素材ならではの特性があります。
このガイドでは、おうち陶芸で作った作品を日々の暮らしの中で安心してお使いいただくためのお手入れ方法と、もっと作品を楽しむための活用アイデアをご紹介いたします。
陶器作品の基本的なお手入れ方法
自宅で作った陶器作品を長くきれいに使うためには、日常的なお手入れが大切です。ここでは、基本的なお手入れのステップをご紹介します。
① 使用前のお手入れ(目止め)
焼き締め(釉薬がかかっていない作品)や、貫入(表面の細かいヒビ模様)が多く入った陶器など、吸水性の高い作品の場合、使い始める前に「目止め(めどめ)」という処理をすることで、汚れや臭いがつきにくくなり、漏れを防ぐ効果が期待できます。
目止めの一般的な方法としては、以下の手順があります。
- 作品をきれいな水で洗って乾かします。
- 作品が浸るくらいの米のとぎ汁、または小麦粉や片栗粉を溶かした水を鍋に入れ、作品を静かに入れます。
- 弱火で15分〜20分ほど煮沸します。このとき、作品同士や鍋にぶつかって欠けないように注意してください。
- 火を止めたら、お湯が完全に冷めるまで作品を入れたままにしておきます。
- 作品を取り出し、水できれいに洗い流し、完全に乾燥させます。
ただし、全ての作品に目止めが必要なわけではありませんし、釉薬の種類によっては目止めをしない方が良い場合もあります。ご自身の作品の状態や使われている粘土・釉薬の特性に合わせて判断してください。不安な場合は、少量で試してみるか、まずは目止めをせずに使ってみても良いでしょう。
② 使用後のお手入れ
食器として使用した場合など、使い終わった後はできるだけ早く洗うことが重要です。
- 優しく手洗いする: 柔らかいスポンジと中性洗剤を使用し、優しく洗いましょう。金属たわしや研磨剤入りのスポンジは、作品の表面を傷つける可能性があるため避けてください。
- しっかりとすすぐ: 洗剤が残らないように、流水で丁寧にすすぎます。
- 完全に乾燥させる: これが最も重要なポイントの一つです。洗い終わった作品は、伏せて水気を切るだけでなく、しっかりと自然乾燥させてください。水分が残っていると、カビや臭いの原因となります。風通しの良い場所で、数時間から一日程度しっかりと乾燥させるのが理想的です。急ぐ場合は、清潔な布で丁寧に水気を拭き取ってから乾燥させましょう。
③ カビや臭いが気になったら
しっかり乾燥させたつもりでも、湿気の多い時期などにカビが生えてしまうことがあります。また、使い続けるうちに食品の臭いが染みついてしまうこともあります。
- カビ: 薄めた漂白剤に浸ける方法がありますが、作品の色が変わってしまったり、釉薬に影響が出たりする可能性もゼロではありません。まずは食器用洗剤で丁寧に洗い、天日干しなどでしっかりと乾燥させることを試みてください。カビが落ちない場合は、重曹をペースト状にしたものを塗ってしばらく置き、洗い流す方法もあります。
- 臭い: 重曹を溶かした水にしばらく浸けておくと、臭いが軽減されることがあります。煮沸できる作品であれば、お茶の葉と一緒に煮沸するのも伝統的な方法です。
日常での活用アイデアと注意点
作った作品を日常でどのように使うか、いくつかアイデアと合わせて注意点をご紹介します。
① 食器として使う
おうち陶芸で最もポピュラーな作品は、湯呑みやお茶碗、お皿などの食器でしょう。自分で作った器で食事をすると、いつもの料理がより一層美味しく感じられるかもしれません。
- 注意点:電子レンジ、食洗機、オーブン
- 電子レンジ: 基本的に陶器は電子レンジでの使用は避けた方が無難です。特に素焼きだけの作品や、貫入が多い作品は、急激な温度変化や水分によってひび割れを起こす可能性があります。また、金属質の絵付けや釉薬を使った場合は火花が散る危険があります。ご自身で作った作品が電子レンジに対応できるかどうかは、使用した粘土や釉薬の種類、焼き方によります。確証がない場合は使用を控えるのが安全です。
- 食洗機: 食洗機も推奨されません。他の食器とぶつかって欠けたり割れたりするリスクが高いこと、強力な水圧や洗剤が作品に負担をかけ、劣化を早める可能性があるためです。優しく手洗いすることをおすすめします。
- オーブン: オーブンでの使用は、オーブン対応の粘土を使い、しっかりと焼き締められた作品でなければできません。通常の陶器作品では、急激な温度変化で破損する可能性が非常に高いため、絶対に使用しないでください。
② 食器以外の活用アイデア
食器以外にも、アイデア次第で様々な形で作品を暮らしに取り入れることができます。
- 小物入れ: 焼き締めの小鉢や、釉薬が美しい小さな器は、アクセサリーや鍵、デスク周りの小物を入れるのにぴったりです。
- 花瓶や一輪挿し: 小さな作品でも、草花を飾るだけで空間が華やぎます。形を工夫すれば個性的なフラワーベースになります。
- 植木鉢カバー/受け皿: 穴が開いていない器でも、内側の鉢との間に空間を作るなど工夫すれば、おしゃれな鉢カバーとして使えます。小さなお皿は植木鉢の受け皿にもなります。
- インテリアとして飾る: 特徴的な形や美しい色の作品は、そのまま置いておくだけで素敵なインテリアになります。玄関やリビングのニッチなどに飾ってみましょう。
- キャンドルホルダー/アロマポット: 耐火性のある粘土で厚めに作れば、安全に配慮しつつキャンドルホルダーとしても活用できます。アロマオイルを垂らすための窪みをつけたアロマポットなども作れます。
③ 長く使うための注意点
- 衝撃に注意: 陶器は落としたりぶつけたりすると割れやすいデリケートな素材です。丁寧に扱ってください。
- 急な温度変化を避ける: 熱いものを入れた直後に冷たい水に浸けるなど、急激な温度変化はひび割れの原因になります。
- 保管場所: 湿気の少ない場所で、重ねすぎずに保管するのが理想的です。重ねる場合は、間に布などを挟むと傷つきを防げます。
まとめ:愛着を持って作品を育てましょう
おうち陶芸で作った作品は、ただの「モノ」ではなく、あなたが時間と心を込めて生み出した特別な存在です。お手入れを丁寧に行い、日々の生活の中で積極的に使うことで、作品への愛着はますます深まるでしょう。
使い続けるうちに、貫入に色が染み込むなど、表情が変わってくることもあります。それは決して劣化ではなく、「育てる」楽しみでもあります。
もし使ってみて不便さを感じたり、お手入れが大変だと感じたりしたら、それは次の作品を作る上での貴重なヒントになります。次はもっと使いやすい形にしよう、この粘土や釉薬は日常使いに向いているかなど、試行錯誤する過程そのものが陶芸の醍醐味です。
さあ、あなただけの大切な作品を、ぜひ暮らしの中で活躍させてあげてください。そして、これからもおうち陶芸で生まれる新たな作品との出会いを楽しんでいきましょう。